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冬の寒さに窓対策②

コラム 2021.12.09

温かい居間から寒い廊下、洗面脱衣室を通り、脚から飛び込むように入浴する。そんな経験はありますか?その時身体は急激な室温変化を体感しています。ヒートショックという言葉がありますが、ヒートショックとは短い時間の中で、このような急激な温度変化を体験することで血圧が上昇、低下し、身体に大きな負担がかかることです。特に、寒い箇所を通って、いったん下がった血圧が、入浴により一気に高くなることは、脳卒中や脳梗塞等を引き起こす大きな要因となり得ます。また、脱衣室や浴室が寒いために、熱い湯に長く浸かって、温まろうとする、そのことでのぼせてしまう熱中症もあるようです。

家庭の浴槽での溺死者は平成16年の2,870人から平成26年の4,866人と約1.7倍に増加しています(※1)。そのうち65歳以上が占める割合が、9割以上であり、圧倒的に高齢者の割合が多いことが分かります(※1)。また、入浴中の事故死は12月から2月の冬において、全体の約5割が発生しているという統計があることからも、室温の低さとの関係が推測されます(※2)。浴室での事故を回避するためには、室内間の室温差を小さくし、身体に負担をできるだけかけないこと、また熱い湯に長い時間浸からないことが、重要なのです。大きな室温差は、身体に大きな負担となりますから、それを避けるために家全体の断熱性を高め、居室と非居室の温度差を小さくすることが大切です。「冬の寒さに窓対策その①」にも書いた通り、家においては窓から逃げる熱が最も大きいので(全体の約58%)、窓(ガラス、サッシを含む)を今の状態よりも性能の良いものに変えることは、家の断熱性を高めることに貢献する割合が大きいはです。

窓の性能がもつ重要さを認識し、浴室も含めてご自宅の「窓」について振り返って見ましょう。

※1:消費者庁「News Release」(平成28年1月20日)より
なお、人口動態統計から「W65浴槽内での溺死及び溺水」と「W66浴槽への転落による溺死及び溺水」のうち外因の発生した場所を示す細分類「.0家(庭)」を集計したもので、「厚生労働省統計協会ホームページ」に公表されている数値を用いられている。

※2:同資料より
厚生労働科学研究費補助金 入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究 平成25年度 総括・分担研究報告書 研究代表者 堀進悟